私は、生まれたのは九州の熊本ですが、子どものころから山の絵といえば富士山を描いていました。子どものときは実物は見ることができなかったのですが、日本人なら誰でも富士山を描けるような気がします。初めて間近に見た富士山の美しさに圧倒されました。今でも飛行機や新幹線に乗るとき富士山が見える側の席かどうか気になりますし、近づいてくると大騒ぎ。車内は撮影大会状態になります。富士山は不思議な山でどの角度から見ても美しいと感じます。どーんと構えていてそれでいてすごくやさしい。日本人にとって心の支柱ですね。私も見ているだけで「がんばれる」「がんばろう」という気になれます。あの雄大さ、あの威厳は、「いつでも君を守るよ」と言ってくれてるようです。現実、富士山を前にするとくよくよしているのが小さく思えてくるのが不思議です。
日本人にとっては子どものころから山といえば富士山、というくらいですよね。私も富士山が大好きで、現在描いている油絵の作品で風景画は富士山がとても多いんです。富士山画を描いていて感じるのは、富士山はいろんな色を持っているということ。季節・時間・場所などによって、色や表情が変わって、いくつ描いても同じ富士山は一つもない。本当に魅力的な山ですね。富士山を描いた作品はこの10年で数十点にのぼりました。私にとってはなくてはならない山なのです。世界遺産になることで、富士山は何も言わないですけど、一人一人が大切にする気持ちを持ち続けていきたいですね。