千玄室さん

茶道裏千家利休居土第十五代家元/日本国連親善大使
千利休居士より第15代。斎号・鵬雲斎。同志社大学法学部経済学科卒業、ハワイ大学に留学(1951年〜52年)して、「茶の湯外交」に取り組む。国際的な広い視野で、茶道文化の浸透・発展を図り、世界60ヶ国以上を歴訪する。「一わんからピースフルネスを」をターゲットに、日本の伝統文化である茶道を通じての平和思想を全世界に広める。勲二等旭日重光章、文化勲章受章。この他国内外から多くの勲章・表彰を受ける。
富士山と茶道とは実は深くつながっています。富士山の麓にある浅間神社では湧き水が滾々と湧き出ています。裏千家家元としてその水を使い献茶式をおこない ます。私ども裏千家は歴代脈々と続いておりますが、明治維新前の八代目家元の時代、現在の静岡県三保の松原の松が傷んでいたので、それを貰い受けて、茶器 の棗を作りました。重要文化財として天下に二つとない大変貴重な名器ですが、それを「はごろもなつめ」といいます。謡曲にあります「天女の羽衣」から銘記 したのですが、美術品としても鳳凰と富士山の蒔絵をほどこした大変美しい茶器です。
日本が国連に加盟して50年が経ちます。しかし、その評価は未 だあまり高くありません。富士山を世界文化遺産にするということを通して、もっと各国に日本を知っていただかなくてはなりません。私は、日本人一人一人の 心の結集が富士山であるのだと思います。そのため、富士山とは単なる“beautiful”「美しさ」としての山ではなく“purify”「清める」存在 であるのだと思います。今後の日本の役割、それは平和を推し進める国として、富士山を平和のシンボルとして、国民の一人一人が日本の役割を認識し、戦争を してはならないという気持ちを富士山に集結してほしいと思います。